100 Happy Challenges

普通の毎日をちょっと楽しくするための挑戦

Challenge4 背筋を伸ばす

ある秋晴れの昼、ドイツ出身の友人と上野公園のカフェのテラスでグラスシャンパン片手にたわいもないことを話していたら、友人がふと「日本人って何でみんな姿勢が悪いんだろうね」と私に言ったことがあります。その言葉をきっかけに、道行く人の出身当てゲームが始まりました。

「あのアジア人4人組は、パンツのタイト加減と歩き方からして、日本人ではないね!」などと勝手なことを言いあっていたわけですが、もちろん、私たちの推察が正解かどうかなんてことは今でもわかりません。それでも、背筋をしゃんっと伸ばして、堂々と歩いている人を見ると、なんだか日本人らしからぬ雰囲気を感じます。

日本にある世界最大級の交差点といえば、渋谷のスクランブル交差点です。あんなに大勢に人が行き交う場所でさえ、携帯片手に背中を丸めて前も見ずに歩いている人たちの姿には毎度驚かされます。

一方、ニューヨークではどうでしょうか。例えば、休日はまるでゴーストタウンのように静まり返っているウォール街も、平日の早朝ともなると、黒のスーツに身を包んだニューヨーカーが、スクランブル交差点に行き交う若者同様に携帯片手に行き交います。ただし、スクランブル交差点のように背中を丸めて歩いている人はほとんど見かけることがありません。ウォール街を歩く人たちの歩き姿はとても格好良くて、金融業界に興味のない私でさえ、「ゴールドマンサックスやブルーンバーグに勤務したら、彼らの一員になれるかしら」なんて憧れを抱いてしまうほどです。(当時の私は、ブルーンバーグの本社がウォール街ではなく、ミッドタウンにあるなんてことは知りませんでした。)

「ニューヨークのビジネスマン、キャリアウーマンが特別なのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、そうとも言えません。私が4年間を過ごしたカリフォルニアの大学に通う現地の女子大生だって、ニューヨークのキャリアウーマン並みに立ち姿は堂々として、自信に満ち溢れていました。もちろん、彼女たちも日本の女子大生と同様、恋愛関係や友達関係、将来のことなど悩みは尽きませんでしたが、カリフォルニアの太陽の下で、タイトめなTシャツにジーンズ、ビーチサンダルというファッションに身を包み、胸を張って歩く姿は、とても格好良く、私をアメリカン・カジュアルに傾倒させるには十分でした。

よく「シンプルな洋服を着て格好良いのは、海外の人だけなのよ!日本人は、手足も短いんだからそれなりに着飾らないと!」と言っている人がいますが、果たして本当でしょうか。私たちとほぼ変わらない体型のアメリカ系アジア人にも、Tシャツとジーンズという飾り気のない格好でも、高級ワンピースを着ているこちらが恥ずかしくなるほど、格好良い人がたくさんいます。伸びた背筋と、堂々と目線を上げて歩く姿は最高のアクセサリーかもしれません。

私はなんだか気分がのらない日ほど、少し高めのヒールを履き、意識して背筋を伸ばし、胸を張って、目線をあげ、心持ち大股で歩くようにしています。そうすると、不思議と自分がいつもより少し美人になった気がして、出来る女になれたような気がして、なんだか良い日になりそうな予感がしてきます。シンプルなことですが、背筋が丸まっていては、目の前にある幸せさえ見逃してしまうような気がしませんか。

フランス人の振る舞いは誰でも少し演技がかっていると聞いたことがあります。私たちだって、たまには自然体以上の女性を演じたってバチはあたらないでしょう。ニューヨークのキャリアウーマンのように、軽快に街を歩くパリジェンヌのように、背筋を伸ばして人生の主役を演じてみると、意外に楽しい事件が周囲に溢れているかもしれないですよ。